大企業勤務40代以降の希望退職はリスクが高い

 2019年以降に増加してきた業績が良いのに中高年を希望退職させるプログラム、つまりリストラがここにきて加速されている。先行きが増々不透明になって給料が高い割にアウトプットが少ない非管理職の中高年を整理しようということだろう。企業側にとっては雪崩を打つように同業他社がリリースしているのだからチャンス到来とばかりに多くの国内大企業で号令がかかっているのは容易に想像出来る。人件費という最大の固定費を整理削減出来れば利益率は改善するからだ。また中高年が減れば従業員平均年齢の若返りも期待出来る。年寄りばかりの歪な年齢構成が将来や企業の活気にとってマイナスなのは明確だ。

私自身は現在勤務する会社が4社目で新卒入社した会社以外は外資系の40代なので、早期退職プログラムは過去に3回受け取った経験もある。だからと言って慣れる訳ではなくプログラムが渡されれば複雑な、多くの場合ショックはそれなりに受ける。これは会社側からの希望退職という名の解雇通告なのだから当然だ。但し建前として解雇ではないので取り敢えず対象年齢、部署に該当する従業員全員に通知が渡される。その中で本当に解雇する候補と通知はするが残す候補とで幾つかのランク付けがされる。私のケースだとそのうち1回は、人事からはっきりと会社に残ってもポジションは用意出来ないと通告された。誰しも会社に対してそれなりに貢献している自負があるだろうからはっきりと必要ないと言われればショックであろう。私も事前にある程度予想はしていたが実際通告されたときは胸が締め付けられるような感覚を味わった。そうは言っても既に転職経験もあり外資系企業では一般的なプログラムなので通告を受けた会議室から出た瞬間直ぐに気持ちを切り替えてヘッドハンティング、人材エージェント、知り合いに電話して転職活動を開始した。会社側が用意したリクルート等大手の人材紹介は全く信用していないので無視した。

私のケースと違って現在プログラムを受け入れる側の中高年、特に新卒採用されて20年以上同じ大手企業に勤務してきた従業員にはかなり高いリスクが伴う筈だ。主な理由としては

1.そもそも転職するという選択肢を真剣に考えたことが無い

2.同一企業だけの職務経験が他で通用しないケースが多い

3.転職活動に必要なスピード感を理解していない

1と2については恐らく新卒で入社してから履歴書、職務経歴書を作成したことが無いだろう。つまり自分の経歴をメンテナンスした経験がないので自身の市場価値を客観的に捉えるようなキャリアの棚卸作業が圧倒的に不足している。現在貰っている年功序列をベースにした給料を期待出来ると無垢に信じていると、とんでもない市場価値とのギャップに落ち込むことになる。また大手の細分化された業務に慣れていると中小企業の求める広い業務範囲、高い融通性に苦労することは間違いない。3については何しろ転職経験が無い場合には時間との勝負がわからないだろう。鉄則として現在と次の職場で働くまでの移行期間を限りなく0にすることである。理想としては金曜日に最終的な退社手続きを済ませたら、週末を挟んで月曜日から新しい職場に勤務することだ。そのためには希望退職を決めた瞬間から活動を始めて、出来るだけ多くの時間を転職活動、面接に使う必要がある。現職場での引き継ぎや挨拶などに時間を使っている場合ではない、そもそも解雇される会社に使う時間など2の次3の次だ。転職先が決まったら落ち着いて引き継ぎをすれば良い。優先順位を間違えてはいけない。あなたに希望退職プログラムを渡した会社にとって、あなたの優先順位は既に最低なのだから。移行期間を空けない理由は明確で転職を受け入れる側の企業は経歴にプータローの期間がないか一番にチェックする。特段の理由がない限り空白期間が長い時点であなたの評価は大きく下がる。つまり希望する条件での就職はまず期待出来ない。

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