終身雇用制度

1954年から73年の高度成長期に広まったらしい終身雇用という時代に全く沿わなくなった制度が終わりを迎えそうだというニュースが最近増えた。そもそも公務員と一部の保守的な大企業でしか残っていない時代遅れの仕組みは、高度成長どころか低成長から衰退期に向かっているこの国の経済にとって多くのケースで不合理だ。

私見としてはこんな奴隷契約のような制度はご免だ。就職氷河期世代の私にとって、終身雇用を謳えるような伝統的な大企業に入れなかったのは結果的に幸いだった。当時はそう思わなかったにせよ。

日本も労働環境を考えた上で先進的な国の制度に倣うべき時期にきている。ゼネラリストこそがサラリーマンのモデルケースというような専門性を軽視した数年毎の職務変更や、マネージャー職は”上がりのポジション”とばかりの職位と実質業務貢献のアンバランス、転職の流動性(最近はかなり改善されているが)、新卒一括採用、同一労働同一賃金。

キャリアの大半を米国と欧州外資系会社で勤務してきたので、不条理だと思う状況を自ら避けて終身雇用の様なある意味恩恵にも預かれなかった代わりに個人的な不満はない。むしろ今はその判断が正しかったと思っている。リタイヤするまでその考えを貫けるかは別として。

それにしても”終身雇用”のような形骸化した雇用制度に代表される常に多数側で安全な立場を取りたい全体主義の様なこの傾向は、むしろ労働者としては強くなっていないだろうか。

終身雇用なんてナンセンスという意見の裏側に、本当はそのメリットを享受したかった、世間的には反対の立場を装うけど自分の会社がそうであれば死守したい。具体的な統計に基づいている訳では無いが、感覚的には保守的な雇用制度の崩壊と安全な雇用への欲求が反比例しているように感じる。






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